宮屋敷忠信の食に関する季節の話題

宮屋敷忠信

管理栄養士の宮屋敷忠信先生が旬の材料を使った料理と季節のお話を毎月紹介しています。

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今月の話題【第82回】(平成28年5月号)

世間では田植えが始まり、季節も春から夏へと移り変わろうかという時期ですね。
私たち日本人にとって四季があるのは当たり前のことですが、最近は季節に関係なく様々な農作物が手に入り、便利な面もありますが季節を感じることが少なくなっている気がします。そこで今回は、日本料理のお吸い物について簡単にまとめてみました。
「春」・・青柳、赤貝、栄螺、真鯛、三つ葉、筍、菜の花・・など
「夏」・・鮎並、穴子、車海老、鱧、茄子、胡瓜、紫蘇・・など
「秋」・・伊勢海老、鮭、秋刀魚、銀杏、里芋、松茸・・など
「冬」・・甘鯛、牡蠣、河豚、公魚、蕪、慈姑、白菜・・など。
もちろん他にも食材は多数あります。お吸い物で季節感を表すことは日本料理の定式の一つで、その時々の季節を伝え、繊細な香りを楽しむ料理で以下のように構成されます。
「吸い地」・・出汁をベースに作った汁です。
「椀種」・・たんぱく質素材で、魚介、肉、豆の加工品など椀の主役。
「椀妻」・・椀種に添える植物性の素材で脇役
「吸い口」・・香りや風味で引き立てる素材。柚子や三つ葉など。
「青味」・・料理を彩るための緑色の野菜類の呼び名。
これらの要素をバランスよく取り入れて作ります。

今月のメニュー

玉子豆腐のすまし汁仕立て

玉子豆腐のすまし汁仕立て

レシピ・作り方

材料

材料

【材料4人分】
 
■玉子豆腐(椀種)
 
2個
出汁 *
120cc
薄口醤油 *
1g
塩 *
0.8g
砂糖 *
4.5g
酒 *
4.5g
■椀妻
 
椎茸
20g
にんじん
2g
三つ葉(青味)
4g
■吸い口
 
柚子
1g
■吸い地
 
混合出汁
300cc
2.1g
薄口醤油
0.3g
  • 手順11
  • 手順1-2
卵をしっかり割りほぐし、*を全て加え混ぜ合わせたら一度裏ごします。
  • 手順2-11
  • 手順2-2
流し缶に①を入れ、蒸し器で蒸します。
蒸し器の中に和布巾やタオルを敷いて、その上に置きます。
流し缶が金属、蒸し器の内側も金属製なので間に布を挟みます。
※金属同士は熱伝導が良すぎるので、間に挟みましょう。
また、蒸し器の蓋をしっかり締めてしまうと、器内の温度が上がりすぎるので、少しずらしておきます。
内部温度は85℃くらいにします。
  • 手順32
  • 手順3-2
  • 手順41
椎茸の表面に切れ目を入れ1分ほど茹でます。にんじんは梅型で抜き、1mm厚さに切り30秒程茹でます。
三つ葉の茎の部分を菜箸などを転がしながらつぶし、結び三つ葉にします。
  • 手順53
  • 手順5-2
玉子豆腐を型から抜き、セルクルなどで半月状に切りだします。
柚子の皮を削ぎ、へぎ柚子にします。(1cm四方のサイズに削いだものを言います)
食材を椀に彩りよく盛り、最後に吸い地を張って出来上がりです。
市販の玉子豆腐でももちろんできますし、見た目も楽しめますので是非お試しください。