夏のキッズ料理教室に参加して

東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科  木口  智美
  石原  由香


アドバイザー:東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 保健栄養学研究室 日田 安寿美


8月の日差しの強い、とても暑い日でした。私たちはNPO法人健康フォーラムけやき21主催の“第8回キッズ料理教室”に参加させていただきました。内容は築地市場で場内の見学ツアーに始まり、マグロの解体ショーの見学、イワシの手開き体験、アジの三枚おろし、調理実習、試食と、盛り沢山でした。


築地市場見学ツアー


東京都の職員の方に案内して頂き、築地市場を見学しました。一般の観光客が入ることのできない、活魚の水槽や冷凍マグロの競り場などまで見学することが出来ました。場内に入ると、魚屋さんの元気な声が飛び交い、大小さまざまな魚介類が所狭しと並べられていました。子どもたちは、普段食べ慣れている魚が切り身ではなく生きたまま売られている姿や、珍しい魚介類など、普段目にすることのできない光景に、興味津々な様子でした。


マグロの解体ショー


マグロの解体ショーの画像1マグロの解体ショーはプロの方が目の前で、部位の説明をしながら行ってくださいました。鮮やかな手つきに大人も子供も夢中になり、食い入るように見ていました。大きなマグロも、あっという間に見慣れた切り身になり、子どもたちは感心していました。


調理実習(マグロとアジの刺身・アジのカルパッチョ・イワシのつみれ汁・ごはん)


調理実習では、最初にイワシの手開きとアジの三枚おろしの見本を見せてもらい、班に分かれて実践していきました。多くの班でお母さん方が中心となって調理が進んで行きましたが、普段料理をしないお父さんも、お母さんに教えてもらいながら、慣れない手つきで頑張っていました。そして子どもたちは小さい子では3歳ぐらいから、小学校高学年まで、それぞれが出来る範囲内で実習に参加していました。


マグロの解体ショーの画像2今回の調理実習のメニューはマグロとアジの刺身、アジのカルパッチョ、イワシのつみれ汁とごはんでした。自分たちで調理した料理は格別であり、どの班も会話が弾んでいる様子が伺えました。


調理実習での交流と参加した感想


私はアジの三枚おろしを2つの家族と一緒に行いました。恥ずかしながら、私は三枚おろしをあまりやったことがなかったので、この機会に出来るようになりたいと意気込んで臨みました。班の高学年の男の子は、初めは覚束ない手つきでお母さんと一緒に包丁をにぎっていました。その様子はとても真剣でした。出来上がった切り身はお世辞にも上手とは言えませんでしたが、初めて自分で魚をさばけたことに、大変感激しているようでした。そんな彼も、1匹、また1匹とさばいていくうちに次第に上手になり、最終的には一人できれいな切り身を作ることが出来るようになっていました。素晴らしい事だなぁと思いました。その後、包丁づかいに慣れた彼は、刺身用の切り身作りにも積極的に取り組み、私の分もきれいな盛り合わせを作ってくれました。

調理実習の画像 盛り合わせの画像

一方、もう一組別の家族の小さな兄弟は、アジの骨抜き作業に頑張って取り組んでいました。骨を一本ずつ、とても丁寧に取り除くことが出来ました。夢中になりすぎて、魚を握り続けた時があったのですが、お母さんが「あんまり触ると新鮮じゃなくなっちゃうよ」と声をかけると、「そうか」と納得し、魚の扱い方にも気をつけるようになりました。こうして一つ一つ、教えて見守りながらやれば、小学生でも魚をさばく手伝いができるのだなぁと思いました。


つみれ汁作りは2家族合同で行いました。イワシのつみれを丸めてつゆの中に落とすのですが、加熱沸騰中の鍋は危険です。十分注意しながら行いました。団子作りは子ども達にとって楽しいようで、夢中になってやっていました。その中で、大きい子が小さい子につみれの種を譲ったり、危なくないように見てあげていて、ほほえましく思いました。


試食では、みんなとてもおいしそうに食べていました。やはり自分で調理したものの味は格別ですよね。班の方々とお話しながら食事をしたのですが、中でも高学年の男の子が言った「すごく新鮮だね!おいしいね!」という言葉がとても印象的でした。


たった数時間という短い時間でしたが、地域の方と交流しながらの料理教室は、とても楽しいものでした。今後もこのような会があったら、積極的に参加していきたいです。

(木口)

調理実習の画像2 つみれ汁の画像

私は、ウズベキスタン人の親子と調理実習を行いました。ウズベキスタンはユーラシア大陸の中央に位置しているため周囲に海は無く、魚は塩蔵のものしか食べたことが無いということでした。生の魚をさばくことは今回が初めての経験ということでしたが、日本人の子どもたちと同様、一緒に取り組んでいく中でコツを覚え、生魚にも親しみを持てたのではないかと感じました。試食の際は、やはりお母さんは普段食べる習慣のない刺身やカルパッチョなど生魚は召し上がっていませんでしたが、子どもたちは自分でさばいた刺身やカルパッチョにも挑戦していました。言葉が通じないため感想を聞くことは出来ませんでしたが、笑顔で美味しそうに食べている姿がとても印象に残りました。


サラダの画像今回のような体験型の食育を通し、子どもたちは多くのことを感じ取ることができたと思います。普段、食卓に並ぶ魚はどこから来て、どのように調理されているのか。そして、その中には様々な人たちが関わっているということを知るきっかけとなったのではないでしょうか。子どもたちばかりではなく、私たち大人も魚や日本の食文化を見直す良い機会になったと思います。今回の経験が、食について考えるきっかけとなり、一人一人のなかで何かプラスの変化が起こることを期待します。

(石原)