食の備え、見直してみませんか?

東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 木村 綾子


アドバイザー:東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 保健栄養学研究室 日田 安寿美


東京農業大学第121回収穫祭において、私たちは「食と備え」というテーマのもとに非常袋に入れて持ち出すとよい非常食や、研究室の方々にアンケートに協力していただき、各家庭の非常食の種類や賞味期限の実態をまとめ、また非常食の試食や展示などを行いました。本祭中の来場者数は3日間合計で約4,000人と多くの人に来てもらうことができました。

展示の様子2。
展示の様子3。 展示の様子1。

展示の様子。

私たちは、非常食の三大条件、歴史、非常食がなぜ学校や会社で蓄えられているか、3日間備える理由と3日分の非常食の量、水が生命の維持にどれだけ大切であるか、また、賞味期限がきれてしまった非常食の現状についてなどさまざまな観点から調べ展示しました。
また、栄養科学科として栄養に関する視点から、実際に市販されている非常食を栄養素の特徴ごとに赤・黄・緑のどれに当てはまるか、また栄養バランスは非常食でとれそうか、実際に来場された方に考えてもらう体験コーナーを設けました。

展示の様子4。 展示の様子5。

非常食でバランスを考えてみましょう!

非常事態の時は,まずエネルギーをとることが大事。でも,少し長引く時は栄養バランスも考えたいですね。それから、多くの人が抱くと予測した「非常食は乾燥していてあまりおいしくなさそう」というイメージを覆すべく、試食コーナーを設けて多くの人に実際に非常食を食べていただきました。

授業の様子6。 授業の様子7。

試食コーナーに皆さん興味津々!


乾パンの始まりは南部せんべいであること、被災した場合に政府や自治体から公的な支援が来るまでに約3日かかると言われているために各自3日分の非常食を備蓄をしておく必要があること、また3日分の備蓄をするにはどのくらいの量が必要なのか、水は最低でも1日1Lは必要であることなどは、来場者の方から「へぇー」という声をいただいたり、「3日間の量を提案してくれてよかった」「こんなに多くの備蓄が必要なんだね」と驚いている方が多くみられました。3日分必要とよく言われていますが、実際に3日分がどれくらい必要か知らない人が多くいることを強く感じました。


来場者の方の多くは、試食をしてみてアルファ米や乾燥もちのおいしさに驚いているようでした。そして、非常食の種類がたくさんあることを知らない方も多くみられ、「こんなに種類があるなら、好きなものを備えてみようかな」という声や「非常時でも普段のような食事ができるようなものもたくさんあるのね」という声が多かったように感じました。私たちも実際、調べていく中で非常食の種類やおいしさに驚きました。

授業の様子8。 授業の様子9。

非常食の例。


もどし水もついているので,開封してセットすれば簡単に食べられます。粉末のしょうゆをかけてのりで巻けばいそべ餅の出来あがり!


授業の様子10。 授業の様子11。

会場の様子。


東日本大震災が起きてから1年8か月ということもあり、多くの方が非常食に関心があるようで、真剣に展示を見てくださる姿があり、私たちもこの展示を行ってよかったと感じています。また、ツイッターや個人ブログ等にも取り上げてくださった方がいてとてもうれしく思っています。


授業の様子12。 授業の様子13。

会場の様子。


最後に、展示に対するアンケートを行ったところ「これから非常食を備えてみようと思った」という回答も多く、来場者の関心を高め、意識を変えることができたことを実感し、やり甲斐を強く感じました。「備えなければ」と思いつつ実行に移せていなかった人も、今回の展示をみて実際どのようなものを備えたら良いか、どのくらい必要なのかについて知っていただき、備えるという行動への後押しができたのでとてもよかったと思いました。

授業の様子14。 授業の様子15。
授業の様子16。 授業の様子17。

会場の様子。





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