私の考える食育 ~五感をフル活用しよう!~

東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 植松 友里


アドバイザー:東京農業大学 応用生物科学部 栄養科学科 保健栄養学研究室 日田 安寿美


私は、食育は五感で感じることがとても大切だと思っています。自分で実際に野菜を育ててみる、料理を作ってみるなど実際に体験してみる食育が食への理解や関心をより向上させることに繋がるのではないかと感じています。

学童保育でうどん作りをする機会があり、うどんは食べたことはあるけれど、自分でうどんを作ったことがない児童は、うどん作りをとても楽しみにしていました。職人さんからのうどんの話や作り方を真剣に聞き、目を輝かせて職人さんがつくるうどんを見ていました。自分たちでうどんを作る番になり、「手がベタベタになった。」「(生地が)かたーい。」と言いながらも一生懸命捏ねて、踏んで、切ってうどんを作っていました。うどんの太さはまちまちで不格好になってしまったけれど、みんな自分たちでつくったうどんは美味しかったと口々に言い、完食していました。食材をみる、香りをかぐ、さわる、食べてみるなど五感をフルに使って体験することで、食への興味・関心が高まると感じました。

食育が関わることができる分野は本当に幅広いと思います。教育実習中、教員の方にお米と小麦を題材にした国語の授業をするのでお米と小麦について何か話をしてほしいといわれ、急いで学校の図書館に行き教材になりそうな情報を調べ、児童に話をしました。このとき、どんな時にも食に関する授業ができる機会があることを知り、日々の授業内容にアンテナを張っておくことも食育を進める上で重要だと思いました。

授業の様子1。 授業の様子2。

食材カードがどのグループに当てはまるかを班ごとに考え、黒板に張ってもらって
いるところです。


食に関する授業が出来る機会は、国語や算数などの日々の授業数に比べると少ないことは明らかです。その少ない授業数の中で児童に食への興味・関心をもってもらうためには、楽しみながら学ぶ工夫として、低学年では紙芝居、6年生ではクイズ形式にするなど学年に合わせて興味を引き出すために使う教材を選択することやそれらを活用した学習方法が大切だと思いました。クラスによって雰囲気や理解度も異なるため、同じ授業内容であってもクラスにあわせて授業をしていくことが関心や理解度を高める方法のひとつであると感じました。

授業の様子3。 授業の様子4。

示した食材カードに多く含まれる栄養素について、班ごとに答えを話し合い、
子どもたちがフリップ(答えが書いてある画用紙)をあげて回答している様子。


また、学習をするうえで児童に何かを伝え、理解をしてもらうためにはさまざまな方向から物事をとらえ、伝える方法を試行錯誤していくことが欠かせないと思います。児童に話をするときは言葉や文章だけで伝えるのではなく、より正確に伝えられるようにフリップを作る、イラストや画像、実物等を効果的に用いて視覚的にアプローチをするなど、印象に残るような説明や伝え方をしていくことが児童の学習や理解度を高めるためにも大切だと感じました。

授業の様子5。 授業の様子6。

ごはんとみそ汁にあうおかずを栄養素のバランスや料理カードを使って考えている
ところです。


栄養教諭実習では小学6年生に五大栄養素のはたらきやバランスの良い食事についての学習を行いました。ごはんとみそ汁に合うおかずを考えるワークシートでは「○○さんのために」というように相手の事を思って食事を考えてもらいました。実際には「忙しいお母さんのために」さっぱりしたおかずを、「太り気味のお父さんのために」野菜中心の組合せにしていたりと、児童の個性や考えを見ることができました。栄養のバランスが摂れた食事をするのは大変だけど、家族や自分の健康な身体をつくるためにもバランスを考えて食べていきたいという感想をもらい、誰かを思っておかずの組合せを考えることを通じて、栄養を考えて食事をとることの必要性や大切さについてさらに理解を深めることができたのではないかと思いました。食に関する授業や食育で学んだこと等はすぐに結果として表れにくいものですが、児童が給食時間や食の幅広い分野での関わり等を通じて食の大切さを学び、健康な身体をつくる食生活に活かし、日々の健康につなげられるようにするために、栄養士・栄養教諭として長い時間をかけて児童にアプローチしていきたいと思います。