6月といえば、私達食品に携わる者たちにとっては、特に食中毒を意識し始める時期でもありますね。しかし梅雨時期ならではの楽しみ、紫陽花観賞があります。
さて、皆さんは紫陽花の色の違いが何故あるのか考えたことはありますか。「もともと決まってんじゃない」なんて思っている方も多いのではないでしょうか。 実は、紫陽花が育っている土の性質で色の変化がおきているんですね。酸性、アルカリ性、中性と微妙な性質の違いが、色とりどりの紫陽花を創り出しているんですね。 食材にもそれぞれ個性的な「色」がありますが、食材の場合のその「色」は含まれる栄養素そのものを主張しているかのようです。
食材の色は結構不安定で、処理の仕方次第では汚くなってしまいます。 6月に旬の食材でお話してみましょう。
茄子・・・色素はアントシアンといい、酸性で紅色アルカリで青色に変化。加熱をすると、退色してしまう。 漬物にするときに、重曹(アルカリ性)を加えるときれいな青に漬かりますよね。
オクラ・・・植物に多くみられる緑色は主にクロロフィル色素。ビタミンCを多く含むことが多い。 加熱をすると、鮮緑色になるが、長時間の加熱や、酸性に弱く、黄褐色になってしまうので注意してください。✽加熱後はすぐにしっかり冷やして、褐変を防ぎましょう。
トマト・・・リコピンという赤系の色素で、カロテノイド系だがプロビタミンAとしての活性は示さない。熱や酸、アルカリにもあまり影響を受けない。しかし活性酸素を抑制するなど、発ガン予防の効果が期待できます。昔からトマトが赤くなると医者が青くなるなんて言われがあるくらい栄養価が高い食品なんですね。
料理を彩るにあたって、食材の色をきれいに仕上げることは料理の価値を高めます。大量調理では難しい課題ですが、色素の性質や特徴を知り、適切な処置をし、より良い料理作りを常に心がけていきたいですね・・・
約20年前に登場したスチームコンベクションオーブン。この機械の便利さはいうまでもありませんが、こんなことを感じたことはないでしょうか?食材の下処理として「蒸す」の作業をおこなったとき、確かにじゃがいものように煮くずれしやすい素材ではとても有効的な手段だし、下茹でするのと違い栄養素の損失も少なくすみます。 しかし、「湯がく」という言葉があるようにあくが強いような野菜(ほうれん草など)や、茹で汁に風味が移る素材(牛蒡や大根など)は、「スチームコンベクションオーブンで蒸して終わり」では寂しいですよね。便利な器具ではありますが、ときには「下茹で処理をする」、「素材の茹で汁を使う」ことで、素材の風味が強調されます。 確かに便利な機械ではありますが、素材の美味しさを引き出すために、上手に使うことが必要ですね。
スチコンで火入れ | 食材はやわらかいが、風味が少なく、素材の旨みが少ない |
茹で汁を使用 | 素材本来の旨み、風味もしっかりした汁に仕上がった。 |
これは、私達調理従事者が常に心がけていることですが、これから6月から9月くらいにかけては、「安全な」の部分で特に食中毒に気を使わなくてはいけない時期に入ります。近年では、空調設備の充実や、ウィルス性の食中毒などで季節を問わず注意が必要ですが、やはり暑くなるこの時期は喫食者自身の体力(抵抗力)が低下しているため、事故につながることも考えなくてはいけません。
細菌をつけない(清潔)
手洗い、消毒を十分に行なう。食品・調理器具類を清潔に扱う
細菌を増やさない(迅速に)
調理終了後は迅速に提供されることが望ましいが、提供まで時間が空いてしまう場合には、適切な温度管理を行うことが大切である。
細菌を殺す(加熱)
食品の中心部分までしっかり加熱することで、細菌を殺すことができる。75℃以上1分以上、ノロウィルス対策には85度の加熱が必要。
自分自身を大事に!
喫食者はもちろんですが、やはり調理従事者自身も健康管理には気をつけなくてはいけませんね! 食中毒は起こそうとして起きるものではありません。ちょっとした油断が引き起こしてしまう事故です。以上の当たり前の作業を、毎日怠らないことがとても大切なんですね。