いよいよ本格的に秋めいてきましたね。秋といえば「味覚の秋」なんていうくらい、夏の暑さを抜け出し、体調的にも食欲が進んできますね。秋というと人それぞれ色々な食べ物を連想すると思いますが、私の場合はやはり「秋刀魚」を思い浮かべてしまいます。今回は秋刀魚に限らず、少しだけ魚の話をしてみたいと思います。
魚は大きく分けて、赤身の魚と、白身の魚にわける事ができます。もちろん見た目で判断ができると思いますが、同じ魚でもなんで色が違うのかな?なんて不思議に思ったことがある方もいるんじゃないでしょうか。簡単に言ってしまうと、運動量の差で、肉質に違いが出ているんです。秋刀魚も含めて、俗に言う「光物、青物」の魚は、素早く泳ぎ移動距離も長いため、運動量も多くなります。そうなると、筋肉中に栄養や酸素を供給するため、多くの血液を全身に送る必要性が出てきます。そのため身が赤く、白身の魚に比べると生臭く感じるわけです。それに比べ白身の魚は、運動量が少なく、全身に送る血液量が少ないため、生臭みも少なく、味も淡白になってきます。光物、青物の魚が傷みやすい原因もそこに関係してきます。ちなみに鮭の身は赤いですが、鮭は白身の魚に分類されます。鮭の身が赤いのは、食べてる「えさ」に関係していて、色素が沈着してあんな色になっているんです。えさとの関係というと身の色だけではなく、ふぐの毒のように毒素を沈着してしまう場合もあります。ふぐは毒がある魚で有名ですが、そんなふぐ毒も食物連鎖によって毒素を持ってしまうといわれています。最近では熱帯や亜熱帯といった地域で多く見られる「シガテラ中毒」という食中毒が、関東近海でも報告されています。日本では奄美や沖縄といった暖かい地域では見られていた中毒で、珊瑚などの周りのプランクトンなどを食べ続けた魚の体にシガテラ毒素が沈着し、その魚を食べた人間が結果中毒になるというわけです。しかし近年の温暖化により、関東近海でもシガテラ毒素を持つ魚が出始めたといわれています。実は私も最近、シガテラ毒素を持っている可能性が高い、「イシガキダイ」という魚を釣り上げまして、食べてしまいました。おかげさまで体は無事でしたが、少しどきどきしながら食べたことはいうまでもありません・・・ちなみに市場にはあまり流通されていません。
魚の油(脂)は体に良いなんてはなしを聞いたことがあると思いますが、いかがでしょうか?本来「油(脂)」は、1gあたり9Kcal(キロカロリー)のエネルギー価値があります。糖質(4Kcal)やたんぱく質(4Kcal)といったエネルギーを生み出す栄養素の中では倍以上のエネルギー価値のため、いわゆる「高カロリー」食材になります。じゃあ何故体に良いの?といった話になりますよね・・・豚や牛といった獣肉類の脂と魚の油では、構成している成分に違いがあります。まず「脂」と「油」の違いですが、常温で固体のものを「脂」、液体のものを「油」としています。さて、そんな脂(油)はグリセリンに脂肪酸と呼ばれるものが結合してできています。
なんだか難しい話になってきちゃいましたが、良いか良くないかの考え方では魚の油を構成している脂肪酸の中には、ヒトの体内でコレステロールの抑制や心血管系の疾患予防や、治療効果が期待できるEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれているところからいわれています。「血管をきれいにする」という意味では良い気もしますが、こんな報告を聞いたことがあります。エスキモーの住む一部の地域で、血管が弱いため、出血性の疾患が多くみられるといった内容で、おそらく血管内壁のコレステロールが必要以上にきれいにされるため血管が弱くなり、出血してしまったのだろうと言うことです。ある程度のコレステロールは血管を丈夫にするため必要なものです。何事もバランスが大切で、偏りは良くないということです。これから迎える食欲の秋、そんなことは気にしないで食べたいものですよね、しかし、おいしい秋を迎えられるのも健康あってこそです。肉、魚、野菜・・・偏りなくバランスよく食べて、おいしい秋を堪能しましょう。