さて、この時期旬の食材というと、菜の花やたらの芽、ふきのとうなどと言った日本人には馴染みの深い、春を告げる食材を連想される方が多いのではないでしょうか。確かにこれらの食材は、季節を問わない時代でも店頭に並ぶのはこの時期だけですよね。とは言え本当の春が来るのはもう少し先になりますが・・・。
たらの芽・・・実際の旬は春先4月ごろ今出回っているのは栽培ものになります。
ふきのとう・・・この時期が旬で独特の風味が特徴ですね。
たらの芽、ふきのとう共にカリウムが豊富に含まれています。和食の素材として天ぷらが一般てきですが、サッと湯がいてカルパッチョの野菜として使用してもいいですね。しかし、たらの芽やふきのとうは天ぷらで食することが多いと思いますのでそんな天ぷらの話をしたいと思います。
天ぷらというと、ポイントになるのが衣と油の温度になります。特に衣については難しいイメージがあるのではないでしょうか。天ぷらの衣といえば少しちじれた独特のものになりますが、失敗してしまうと、ちじれ感がないフリッターのようになってしまいます。分量は合っているのになぜそんなふうになってしまうのか・・・それは小麦粉の性質を理解してもらえば解決します。
天ぷらの衣は小麦粉と卵と水で作りますが、小麦粉中にはタンパク質の一種のグルテニンとグリアジンというものが存在します。この2種は混ざり合うと、グルテンという粘弾性をもった形に変化します。そのため、小麦粉に水を加えてから混ぜすぎるとグルテンを形成してしまい、独特のちじれ感が出来なくなってしまうわけです。冷水を使用するとグルテンの形成が遅くなるため、衣を作るときには冷水を使うことが有効です。必要以上に混ぜているとグルテン形成が進み、粘りがでてくるので適度のゆるさになったら衣は早く使ってしまいましょう。近年は、食品メーカーから失敗しにくい天ぷら専用の粉もありますがそれは上記の性質を考慮して作られていると思います。
次に油の温度ですが、天ぷらは揚げ物としては高い温度で処理することになります。通常の揚げ物は165℃~170℃で調理することが多いですが、天ぷらの場合は180℃程度で短めの時間で調理するのが特徴になります。油の温度を知るためには温度計があれば一番良いのですが、200度まで測ることができる温度計が各家庭にあるとは思いませんので、簡単に温度を知る方法をお話しますね。
油の鍋に衣を少し入れてみましょう。
衣の水分が蒸発して浮かんできますが、油の温度で浮かび方に違いが出ます。
①150度以下 | 衣は完全に沈んでなかなか上がってこない。 |
②150~160度 | なべ底まで沈んで、すぐに浮き上がってくる。 |
③160~170度 | 衣がなべ底につく手前で浮かんでくる。 |
④170~180度 | 衣は半分近くまで沈んで浮かび上がってくる。 |
⑤200度以上 | 衣を落としても沈まない。 |
*氷を入れる時はカップで水と一緒に入れてください。
ボールに卵と水(小さめの氷を入れておくのも良い)を入れ、小麦粉を加え混ぜる。少々ダマが残っていても構いません。
せっかくですのでたらの芽とふきのとうの天ぷらを作ってみます。
ふきのとうは根元を軽く切り落とし、一番外側の葉をむきサッと洗います。
次に、葉を開いてあげます。
たらの芽も一番外側の葉をむきます。根元の茶色い部分も向けるはずです。
包丁で根元の先を少しだけ落とします。
これで下処理は終わりです。続いて揚げる準備をしましょう。
写真の鍋は天鍋で、銅で出来ています。保温性が高く温度変化が起きにくいため、揚げ物に適しています。衣を少し入れてみます。沈んだまま浮かんできません。これでは温度は低すぎです。衣を入れて、少しだけ沈んで浮き上がってくるくらいになったら適温です。
下処理を終えたふきのとう、たらの芽、えび、個人的に大好きな舞茸を揚げたいと思います。
たらの芽、ふきのとうには衣ののりが良くなるように、小麦粉を少しだけまぶします。ふきのとうはきれいに開くように、先に開いた葉の部分を3秒ほど油につけてあげるときれいに開いて揚がります。
具をたくさん入れると油の温度が下がるし、時間がかかると油の温度が上がりすぎてしまうので、火加減を調整して温度管理をしっかり行なって下さい。
えびは油に入れたあと、衣をたらして華を咲かせます。
天つゆは、だし、しょうゆ、みりんを4:1:1の割合で作ってみてください。4:1:1覚えておくと、いろいろ応用できますよ!
ふきのとう、たらの芽、舞茸、海老の天ぷら。