見直そう、日本の食文化 ~おせち料理に触れよう。~
私たち日本人が、正月に何気なく食べているおせち料理、この料理に込められた意味や、思いを理解しながら食べたことはありますか?実はおせち料理には、私たち日本人の工夫や、願いが込められた素敵な料理なんです。今日はそんな御節について考えてみましょう。御節とは本来、暦上の節目、季節の変わり目などにあたる節日(せつにち、節句)のことを指す。節日には祝事を行い、祝膳がしつらえられた。このとき作られるめでたい料理が、おせち料理と呼ばれた。おせち料理には色々な工夫や願いが込められている。
1 食材編
おせち料理に使用されている食材には、実は意味があるんです!
- 鯛・・・日本では、言わずと知れた魚の王様的存在です。めでたい謂れから、縁起物として古くから祝い事に欠かせないものとなっている。
- 鰤・・・成長につれて呼び名が変わる出世魚。出世に例え、縁起が良い。
- 黒豆・・・まめに暮らすにちなんで御節に欠かせない品です。
- 田作り・・・昔田んぼの肥料として使われていて、豊作祈願の意。五万米(ゴマメ)とも書き、秋に米を五万と収穫したいとの願いが込められています。(かたくちいわし)
- 慈姑(くわい)・・・芽が出るとして、立身出世に例え、縁起が良い品です。
- 昆布巻き・・・よろこぶ(昆布)にちなみ縁起物。巻物は文物、すなわち食文化的食べ物として受け継がれています。
- 里芋・・・親芋から子芋、孫芋、ひ孫芋と出るので、子孫繁栄の食べ物。
- 牛蒡・・・ごぼうの根は地中深く入るので、家の基礎の堅固を祈るところからきている。
- 蓮根・・・穴が開いているので、先の見通しが良いようにと祈ったものです。
- 数の子・・・子孫繁栄にちなんだ縁起の良いものです。
- とこぶし・・・別名フクダメ、福が溜まる事を願って。
- 伊達巻・・・伊達は華やかさ派手さの意を持ち、巻きは巻物(書物)に似た形から、知識が増えることを願う縁起物。
- (栗)金団・・・金団とは、黄金の団子や金の布団など、見た目の色合い。
- 海老・・・髭が長く尾部が曲がっているので、髭は老人を象徴し、腰が曲がっても末永く長生きする様にとの意味です。
- ちょろぎ・・・長老喜と書き、長寿を祈ったもの。しそ科の植物の地下茎。
2 細工編
食材を調理する祭にも様々な工夫が・・・
- 松・・・松は常碧木ですので年中色が変わらず、不変の健康、長寿を現し、材は建築に、葉は枯れても落ちても二人連れと夫婦愛の象徴。
- 竹・・・幹は緑で真っ直ぐ、葉もまた緑色で変化しません。悪いよこしまの心のない、包み隠す心のない、わだかまりないなどさっぱりとした性質の例えに引用されます。また、節目節目に真っ直ぐに成長するように思いが込められている。
- 梅・・・中国では花の王とされ、大寒にも枯れずに香気を放ち、花が散って実り古来薬効の高いものとされ、江戸時代から松、竹、梅として使われるようになった。
以上のように、松・竹・梅を模って食材を処理することが多い。
重詰め
伝統的なおせち料理の重詰めには五段重を使うが、近年では省略され三段重が利用される場合が多い。上から順に一の重、二の重、三の重、与の重、五の重と数える。四弾目が与の重と呼ばれるのは、四(し)が死を連想させ縁起が悪いと考えられているためである。
五段重 |
三段重 |
一の重・・・祝肴 |
一の重・・・祝肴・口取り |
二の重・・・酢の物、口取り |
二の重・・・焼き物、酢の物 |
三の重・・・焼き物 |
三の重・・・煮物 |
与の重・・・煮物 |
(与の重)・・・控え |
五の重・・・控え(何もつめない) |
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五の重に何もつめないのは、現在が満杯(最高)の状態ではなく、将来さらに繁栄し富が増える余地があることを示している。
- 祝肴・・・正月の祝に欠かせない三種類の料理。三つ肴ともいわれる。田作り、数の子、黒豆
- 口取り 伊達巻、金団、蒲鉾、昆布巻き・・・甘いものが多い。砂糖は高価だが正月ぐらいは甘いもので贅沢な気分を味わいたい気持ちから。
- 酢の物・・・口取りに対して口代わりと言われ、酢の物を詰めるのが正式で、近年では焼き物なども詰めるようになった。紅白なます、菊花蕪、蓮根の酢の物。
- 焼き物・・・鰤、鯛、海老等
- 煮物・・・慈姑、蓮根、里芋、ごぼう、にんじん、しいたけ、・・・お節の中では、メインにあたる料理だったようです。
料理紹介 本日のお節レシピ
祝 肴
口 取 り
焼 き 物
煮物
武蔵野栄養専門学校 管理栄養士 宮屋敷忠信