皆様、あけましておめでとうございます。
いよいよ2012年が始まりましたが、昨年末の話からはじめたいと思います。昨年12月のお話が抜けてしまっているんですが、実は12月半ば過ぎから新潟の湯沢にある、某スキー場のロッジへ出向いておりました。ここだけ聞くと、「遊びに行ってたのか」と思われるでしょうが、自分自身に刺激を与えると申しましょうか、日常から少し離れて、料理に向き合う姿勢とか考え方などをもう一度考え直したいと思い、行動に移りました。ここのロッジ、実は知る人ぞ知る美味しいコース料理を出してくれるロッジではるか昔にアルバイトさせてもらった事があるのですが、今回はオーナーに無理を言って勉強させてもらいに行ってきました。
ということで新潟のお話、ではなく、新年明けて間もないので、お節にうんざりしている頃だと思いますので、お節以外の話をさせていただいて、1月後半に新潟のお話をさせてもらいたいと思います。

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1月中に食べる料理にはいくつかありますが、お節の次に食べるであろう行事食は七草粥だと思います。
七草というと「春の七草」、「秋の七草」がありますが、秋の七草は基本観賞用ですので、春の七草を使った七草粥のお話からはじめます。


七草には以下の種類があります。

  • 菘(すずな)・・・・蕪(かぶ)
  • 蘿蔔(すずしろ)・・・大根
  • 仏の座(ほとけのざ)
  • 芹(せり)
  • 薺(なずな)・・・ぺんぺん草
  • 御形(ごぎょう)
  • 繁縷(はこべら)

これらを刻んで入れた粥を七草粥と言います。無病息災を願って食べる意味もありますが、おせち料理で疲れた胃を休め、冬場に乏しかった野菜の栄養を補うという効果もあったみたいですね。地域によっても諸説はありますが、一般的には1月7日に食べることが多いです。ではお粥の種類はというと、

全粥 米の5倍量の水で炊く。
七分粥 米の7倍量の水で炊く。
五分粥 米の10倍量の水で炊く。
三分粥 米の20倍量の水で炊く。

単にお粥といっても水の量で呼び名が変ります。お粥にすることで消化性は向上するし、野菜も摂れるということで理にかなっているといえるのではないでしょうか。

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さて七草粥の次に待っているのは「鏡開き」です。
最近では1月11日が一般的ですが、古くは1月20日だったようです。地域によっても差があるようなので、はっきりと「いつが正しい」とは言いにくいですので、一般的な1月11日で話を進めますね。そもそも餅には、神秘な霊を宿すと考えられていたため、単に美味いしい食べ物とは考えず、食べると力が付き、生命を再生させる霊力があると信じられ、「ハレの日」(特別日)に餅を食べる習慣が広まったようです。
だから力うどんには餅か・・・。
例えば、3月3日のひな祭り。
ひし形の三色の餅を飾りますが、赤は魔除け、緑は魔除けの意味と心優しい人になるように、そして白は清らかにという意味だそうです。春には桜餅を、5月5日には柏餅を、春の彼岸、春分の日にはおはぎを、仲秋の名月には月見団子をなどなど、日本人にとって餅は、切っても切れない仲なのですね。

鏡餅は何故丸い???
丸くてどっしり、まるで満月のようです。ひとの魂がこもる心臓、また、社会や人間同士の付き合いが円満にそういった願いと長寿を祈願する為に、正月にやってくる年神様に福と徳を重ねがさねお願いする意味で、二段重ねにして供えたようです。また、満月を別名「望月(もちづき)」とよぶことから、鏡餅を拝むと望みがかなえられると信じてきました。満月型の餅は、天皇の神器である、「三種の神器」のひとつ、銅鏡に似ていることから鏡餅と言われるようになり、餅の仲間で一番えらい!らしいです。
鏡開き、鏡割りで包丁を使わない理由としては、刃物を使うことは切腹を連想させられ、縁起がよくないからだとか・・。
日本の食文化は非常に奥深く、調べてみると面白いことも沢山あります。日本人の思想は、様々なものに神が宿り、ときには幸福をときには災いをもたらすと考えられてきました。
携帯電話から、携帯端末に移行し、世の中デジタル文化が急速に発展しているなか、ばかばかしい話と感じる方も少なくないと思いますが、日本の古い文化であり、ファンタジー感たっぷりで素敵だと思いませんか?そもそも今年は「辰年」、唯一実在しない動物の干支の年です。12年に1度、夢を見るにも悪くない年なのかもしれませんね・・・・ちなみに竜は架空ですから、夢がかなうかどうかはわかりませんけど。

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さて、いよいよ始まった2012年。竜が力強く天を駆け巡るように、読者の皆様方の活躍と発展を祈念いたしまして、今年最初のお話を締めさせて頂きます。
今年もよろしくお願いいたします。

武蔵野栄養専門学校 管理栄養士 宮屋敷忠信



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