栄養士の卵たち ~MUSASHINO LIFE~

すごいぞ・大豆

“鬼は~外!福は~内!”2月といえば、「節分」。日本の伝統的な行事のひとつで豆まきの風習がおなじみです。
この豆まきに使う大豆を加工してできる食品には、豆腐、豆乳、おから、油揚げ、ゆば、きな粉、もやし、さらには発酵調味料・食品として味噌、醤油、納豆など身近な食品が多くあります。
今回はNo.05~やっぱりコシが命~でもご紹介した1年生の後期に行う「食品加工学実習」より、豆の加工品の中から絹ごし豆腐を作った授業の様子をお届けします。

豆腐作りでは、豆乳を固めるために凝固剤としてにがりを使用する方法(塩凝固といいます)がよく知られていますが、今回はグルコノデルタラクトン(GDL)という凝固剤を使用した豆腐作りを行いました。このグルコノデルタラクトン(GDL)は、水に溶けると徐々にグルコン酸に変化するという特性があり、食品添加物として「豆腐用凝固剤」の他に「酸味料」「膨張剤」「pH調整剤」に使用されています。

豆乳にグルコノデルタラクトンを入れると徐々にグルコン酸という酸に変化することによって酸凝固する反応が起こります。豆乳にレモンを入れても固まりますが、急激なpH低下により凝固にムラができてしまいます。グルコノデルタラクトンは、豆乳に添加した後にすぐにpHが下がらず、ゆっくりとpHを下げることでムラなく均一に凝固し、きめ細やかでしっかりとした豆腐ができあがります。

大豆から絹ごし豆腐を作りました!

材料:1丁分(約250g)

乾燥大豆
浸水後、重量は約2倍の250gになります。
125g
500g
凝固剤(グルコノデルタラクトン)
豆乳250gに対して0.3%         
0.75g
20g
1
  • 1-1
  • 1-2
  • 1-3
  • 加工工程
  • ①水洗・浸漬:大豆を水洗いし、一晩水に漬けて、十分に吸水させる。
  • ②磨砕:吸水させた大豆と水(ここで1/3量ほど残しておく)をミキサーで1分間すりつぶす。
    これを呉(ご)と言う。 残しておいた水でミキサー内に付着した呉を流すようにしてできている呉と合わせる。
2
  • 2-1
  • 2-2
  • 2-3
  • ③加熱:鍋に呉を入れて、40℃まで加熱する。焦がさないように注意。
  • ④ろ過:加熱した呉をメッシュの袋に入れ、大ボールの中で5分間もみ込む。きつく絞り豆乳とおからに分ける。絞り汁が豆乳、袋に残った固形分がおからです。
    15分放置後、できた豆乳をストレーナーでろ過し、泡を取る。ストレーナーにクッキングペーパーを敷き、再度ろ過する。
3
  • 3-1
  • 3-2
  • <絹ごし豆腐を作る>
  • ①加熱:できあがった豆乳から250gを鍋に入れ、80℃まで加熱する。焦がさないように注意。
  • ②型入れ:①の豆乳に水で溶かした凝固剤を加えて軽く混ぜたら型に入れる。
  • ③加熱:ラップをして割り箸を置いた蒸し器で加熱する。(90~95℃、30分)
  • ④水さらし:型からはずし、6~8等分にし、流水で水さらしを行う。(20~30分)
4
  • 4-1
  •  おからは、豆乳を絞った時に残った固形分になり、食物繊維やカルシウムをを多く含んでいます。
    授業では野菜とだしを加えて煮物を作りました。おからについては別の機会にご紹介したいと思います。

完成品

栄養成分

絹ごし豆腐1丁
(できあがり量250g)

エネルギー
140kcal
たんぱく質
13.3g
脂質
8.8g
炭水化物
5.0g
食塩相当量
0g
  • 完成品1

最後にまとめです。
今回の授業で作った絹ごし豆腐が固まった理由:「大豆(豆乳)のたんぱく質は、グルコノデルタラクトンが水に溶けると徐々にグルコン酸に変化するという特性により、ゆっくりとpHを下げることで“酸凝固”しゲル化するため。」

大豆を豆乳とおからに分け、さらに豆乳から豆腐を作る工程では「凝固」のための食品添加物は不可欠なものです。豆腐の凝固剤として食品衛生法で指定されているものは数種類あり、それぞれの特性や豆腐の種類に応じた使用がされています。

この他にも本校のInstagramにも載っておりますので
ぜひご覧ください!!

アーカイブ